第五夜〜吾が身は成り成りて、成り合はざる処、一処あり


こんにちは。古事記研究家のりゅりゅです。


旧約聖書でも、神が天と地とを作ったとありますが、キリスト教は一神教なので、一人で作ったわけですね。

一方、日本の神道は、多神教なので、あたかも夫婦の交合のようにして日本の国土を作っていったのです。

では古事記のそのへんを、超訳していってみましょう。


▼伊邪那岐命(イザナギノミコト)と伊邪那美命(イザナミノミコト)の章


ここに天つ神、諸々の命もちて、

伊邪那岐命、伊邪那美命、二柱の神に、

「このただよへる国を修め理り固め成せ。」と詔りて、天の沼矛を賜ひて、言依さしたまひき。


ある時、天の神がイザナギとイザナミという神に命じて、

「この渾沌としたぐちゃぐちゃの地(たぶん溶岩かなんかでドロドロになってる)を

固めて、国土を作れ」と、天の沼矛を与えました。

命じられてるとこ↑(二人はなぜかほとんど半裸状態。ちょっとイメージが違う。

アダムとイブの影響?イザナミは長い髪で乳を姑息に隠してる。)


二柱の神、天の浮橋に立たして、その沼矛を指し下ろして画きたまへば、
塩こをろこをろに画き鳴して引き上げたまふ時、
その矛の末より垂り落つる塩、累なり積もりて島と成りき。これ淤能碁呂島なり。


イザナギとイザナミは天空にかかる橋に立ち、沼矛をカオス状態の中に降ろして、

かき混ぜ引き上げると、したたり落ちたものが積もって淤能碁呂島となりました。

その島に天降りまして、天の御柱を見立て、八尋殿を見立てたまひき。

淤能碁呂島に降りた二人は、天の御柱八尋殿を立てた。


まあ、ここまでは天空の神のお言いつけ通りに、沼矛を使って国土を作っていったのですが、

なぜかここから暴走しはじめます。

なにを思ったのか、イザナギは急に・・・



ここに伊邪那美命に問ひて、
「汝が身は如何にか成れる」と曰りたまへば、


イザナギ「君の体って・・・どうなってるの?」

んなこと急に聞くなあ!(^o^;)

とんでもないことを聞かれて、ぽか〜んとするイザナミ↑だったが、

何も知らんオボコ娘だったので素直にこう答える。


「吾が身は成り成りて、成り合はざる処、一処あり」と答へたまひき。


イザナミ「どうって・・・そういえば私の体・・こんなにぴちぴちに成長しても・・・

変な所があるの。未完成みたいなとこが1箇所あるの。ふふ。」


ここに伊邪那岐命、詔りたまはく、

「我が身は成り成りて、成り余れる処、一処あり。
かれ、この吾が身の成り余れる処をもちて、汝が身の成り合はざる処にさし塞ぎて、
国土を生み成さむとおもふ。生むこといかに」とのりたまへば、


イザナギなんだって!?でも、それは奇遇だな(*^_^*)

実は、ぼくも成長しすぎたのか、余ってる部分が1箇所あるんだよ。

どう?ぼくの余ってる部分を、君の未完成部分にぶち込み塞いで、国を作ってみない?」

イザナミ「ええ!?( ̄□ ̄; だって、ボスは、沼矛を使えって・・・。


伊邪那美命、
「しか、善けむ」と答へたまひき。


イザナミ「でも、いい考えだわ(*^_^*) 

気持ち良さ・・いえ、、試してみましょう(^o^)/」

晴れ晴れとOKするイザナミたん↑


ここに伊邪那岐命、詔りたまはく、

「然らば吾と汝と、この天の御柱を行き廻り逢ひて、みとのまぐはひせむ」とのりたまひき。

「じゃあさあ、君はあそこの天の御柱を右から回ってよ。ぼくは左から回るからさ。

出会った場所で野外マグアイしちゃおう。ロマンチックだろ。」

(注釈参照)

伊邪那美命、先に「あなにやし、えをとこを」と言ひ、

後に伊邪那岐命、「あなにやし、えをとめを」と言ひ、各言ひ竟(ヲ)へし後、
その妹に告げて、「女人、先に言へるは良からず」と曰りたまひき。


で、二人はやりはじめたんだけれど、こともあろうに女神であるイザナミが、先に

「あ〜ん、いい!いい△△△!」といってしまったのだ。

もちろんイザナギも後から

「うお〜〜!いい○○○だ!」といったんですけど、

男の生理の常で、事が終ると速攻で妙に冷静になったイザナギはイザナミに向かって言いました。

イザナギ「う〜〜ん。やっぱさあ、こういう言葉って女が先にいうのは、はしたなくない?

なんか悪いことが起こりそう・・」

イザナミ「え!?( ̄□ ̄;」


然れども、くみどに興して子、水蛭子を生みき。

この子は葦船に入れて流し去てき。


イザナギの心配は当たり、縁起でもないが、この時のマグアイでイザナミは

水蛭子という奇形児を産んだので、葦の船に乗せて流したのであった・・。

今回使った画像は、東宝映画、1000本製作記念とかで作られた、「日本誕生」

からのものです。

出演者はまさに豪華絢爛。三船がスサノオやヤマトタケル(二役)をやっていたり、

原節子、水野久美(これがケバクなくて超きれい!)司葉子、香川京子、乙羽信子

志村喬、平田昭彦、東野英治郎、鶴田浩二、左卜全、三木のり平、有島一郎

宝田明、なんとエノケンまで出ていまして、もう書ききれないくらい。

東宝スター、全員出演してんじゃね〜か?という作品でした。しかも特撮が円谷。音楽は伊福部。

しかしながら、出来としてはオールスター総出演の学芸会となってしまったような感じ。

八岐大蛇の操演もいまひとつでしたね。


イザナギイザナミのマグアイの場面は天の御柱を回ったとこで終ってしまい、

話はスサノオの物語〜ヤマトタケルの物語に飛んでいくのですが・・・

私としましては、イザナギイザナミの夫婦神の話を最後まで描いてほしかったです。

これはもう凄絶な話なのです。


書きましたように、二人は、「あなにやし、えをとこを」「あなにやし、えをとめを」と

言い合いながら、アツアツのカップルになって、国を作っていくのですが、

火の神を産むとき、イザナミの女陰は焼かれ、それが元で、彼女は死んでしまいます。

悲嘆にくれるイザナギは黄泉の国まで、イザナミを追いかけていきます。

そして二人は黄泉の国で出会います。


「愛しき我が汝妹の命、吾と汝と作りし国、未だ作り竟へず。故、還るべし」


「イザナミ、君を愛してる。君とやってきたことはまだ終っちゃいないだろ。

国造りだ。帰ろう。帰ってまた一緒に・・・」

そこは真っ暗な闇の世界。イザナミの姿は見えない。しかし彼女の声が聞える。


「還らむと欲ふを、且く黄泉神と相論はむ。」

「あなたは遅かった・・・。私はもう黄泉の国の食べ物を食べてしまったの。

でも還りたい。還ってもう一度あなたと・・・。

そうだわ、黄泉神に頼んでみる!」


「我をな視たまひそ。」

「その間・・・絶対私を見ないで」

「うん。見ないよ。真っ暗だし・・。約束する」


しかし、見るなと言われたら見てしまいたくなるのが男のサガ。

イザナギは灯をともしてつい見てしまいます。

そこにはなんと、

見るも無残な蛆だらけの腐った体のイザナミが!

百年の恋もなんとやらで、イザナギは青ざめ、逃げます。

それを追いかける、あたかもゾンビと化したイザナミ!

「吾に辱見せつ」

イザナミ「見たなあああああああ!!我が恥を!私の醜い体を〜!!」

イザナギ「ひえええええええええ!( ̄□ ̄;」


すんでのところで、イザナギは黄泉の洞窟から脱出。

大きな岩で出口を塞いでしまう。

ホットひと息つくイザナギに、岩の向こうからイザナミの身の毛もよだつ恐ろしい捨てぜりふが。

「汝の国の人草、一日に千頭、絞り殺さむ」

ゾンビ化したイザナミたん「おまえの国の人間共を一日に1000人、くびり殺してやるわ!」


ここらへんは作り方によっては、バイオハザードより恐ろしくなるんじゃないでしょうか(^o^;)

しかし情けないね、イザナギは。にしても、女の恨みは怖い。



[注釈] 日本で初めてのプロポーズであり、性交ということですが、

「君の身体はどうなってるの?ぼくの身体はね・・・」

という言葉がプロポーズの言葉というのはすごい。

チョウさんもその手でいきませんか?

日本書紀では更にくわしく記述されておりまして、二人ははじめようとはするものの、イマイチ

うまくいかない。そんなとき、セキレイという鳥が飛来!鳥が尾を振る姿を見て、

「おお!これだ!」ということになりました。

なんでセキレイなのか?といいますと、この鳥、盛んにしっぽを振る鳥なんだそうです。

いやあ、今回の機竜プロジェクトもためになったなあ。

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「ふ〜ん、結構ストレートなプロポーズね。私もぐらっときちゃうかも」


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